「マリオ生みの親」が語るヒットの秘密|【伝説対談】宮本茂×松本人志の仕事論

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2011年2人の「天才」の対談番組が放送されたことをご存知でしょうか?

その2人とは「スーパーマリオ」など様々な大ヒットタイトルを生み出した「ゲームの神」宮本茂さんと、知らない者はいない「笑いの神」ダウンタウン・松本人志さん

この時の対談内容が実にビジネスの発想にも役立つものばかりでしたので、今日は10年の時を越えてその一部のやり取りをご紹介していきたいと思います。

それではどうぞ!

「ピクミン」ヒットの秘密

松本:ちょっと脳みそをお伺いしたいというか、そんな感情になったんですよね。

宮本:ありがとうございます。がっかりされたらどうしよう。

松本:自分のコントローラーを宮本さんに僕自身動かされていたみたいな。そんな感覚になりましたね。どこからあのゲームの発想は来るんですかね。

宮本:任天堂に入ったときくらいに、インベーダーゲームとかパックマンが出てきてとことん遊んだんですよね。とことん遊んでるうちに、会社の中ではゲームに詳しいとなって。それ以来、作ってるゲームで遊ぶのに一生懸命です。

松本:僕がすごいなと思うのは、ものすごく頭の良い人のはずなのにものすごく幼稚な部分をちゃんと残していて。自分もこういう仕事をやっててすごく感じるんですけど、いかに幼稚な部分を残しながら技術を取り入れながら、表現していくかっていうのがすごく難しくて。成長しすぎないように努力するというか。「ピクミン」なんてみると本当にそうで…

松本:すごく子供のまま。ピクミンは本当に最高ですね。ピクミンのあの子供の発想からでも技術はしっかりついてきていて。幼稚さを保っている。

宮本:自分自身、遊びながら作ってるんですよね。だからそのままなんですよ、子供の頃から遊んでいたことが。自分自身変わったことをしている感覚がないので、自分が作ったものを遊んでいる人がどう感じてくれているのかがすごい気になる。

松本:人のことは気になる?

宮本:結構気になるんですよ。自分が作りながら見てる通りに遊んでもらえたら理想なので。

松本:心技体といいますけど、僕はこの世界でいう「心」は「童心」だと思っていて、そこに技術や体力が合わせって面白いものができればいいなとと思ってる。宮本さんはまさにそれを体現されている。

宮本:会社に入って大人になっていくにつれて技術とかの方が優位に立ってくる。それが怪しいと思うようになったんですよね、30才くらいで。もともと自分はみんながこっちだと言って進む方向に進みたくない人間だったなって思い出したり、本音で作るようになった。結果は求めているけど、本音で作ろうやと。自分がプレイヤーでいるのが一番分かりやすい。

松本:僕には出来ないですけど、すごく羨ましい職業だなって思いますね。僕もできれば表舞台には出ずに、自分のやりたいことをやりたかったですね。

「スーパーマリオ64」ヒットの秘密

松本:64のマリオも宮本さん?

宮本:そうですね、マリオは全部。初代から。

松本:64のマリオやらせてもらった時に、気持ち悪がられるかもしれないんですけど、あの世界から出たくなくなるんですよね。あの世界に入り込んでしまって。極端の話、あれと同じ世界を作ってやろうかなと。

宮本:箱庭を作ろうと。子供の時遊んでいた遊び場を合理的にまとめて箱庭にする。徐々に3Dとかになってやりやすくなったんですよ。

松本:ゲームを欲している人たちは増えているんでしょうか?減っているんでしょうか?

宮本:基本的には常に減ると思っているんですよ。必ず減るので、増減は気にしない。どれだけ呼んでこれるか。娯楽の会社はブームを何度仕掛けられるかが勝負。でもビジネスが整うとそれで回っていく、そこから抜け出したかった。例えばスーパーマリオが売れましたよね、そうすると皆褒めてくれるんですよ。でもその褒めてくれる言葉の半分以上はスーパーマリオだけじゃなくて他のソフトでもやっていることなんですよね。ゲーム作っていると全部ゲームを知っている人と付き合うのでズレる。ゲームを知らない人もお客さんにはいるのでそこまで想定した上で考えないといけない。

松本:分かります。あと宮本さんはオリジナリティへのこだわりがものすごいと伺った。

宮本:独自に考えたものは仕上げる余地がいっぱいある。皆怖がるので安全なところにパイを置きたがる。そのときは目立つように置くのに努力がいる。独自のものはラフに置いても目立つ。そのほうが仕事楽しいんですよ。

松本:何年か前に僕も全く同じことを言ってるんですよね。言い換えれば少し卑怯なんですよね。誰も行っていないところに行くということは。

宮本:オリジナリティってそういうところですよね。人に注目されるのは、他のものとの比較ですよね。

松本:宮本さんはそうはいっても大衆も掴んでますよね、そこがすごい。

宮本:そこは僕が臆病なんですよね。

松本:ブレーンの人がたくさんいるんですか?

宮本:僕が奮い立たせてこっちに行こうといってる。ただバランスをとるのも僕もなんですよね。そこの距離感を調整するのがプロデューサーなんですよね。

松本:出来たら普通に居酒屋でお話したかったですね(笑)

「マリオカート」ヒットの秘密

松本:「マリオカート」も宮本さんが作られたんですか?

宮本:「マリオカート」も僕ですね。

宮本:コイン拾いますよね?あれってありえないですよね?レース中にコイン拾うなんて

松本:確かに普通に考えたらありえないですよね。

宮本:レースゲームを作っててマリオを乗せて初めて出来た。そのときにマリオだしコインがあったほうがいいでしょ?って。今までレースゲームを作ってた人はコインなんてありえないと怒るんですよ。僕はいっそのことジャンプしようって(笑)マリオを無理矢理くっつけたことでレースゲームじゃないレースゲームが出来た。レースゲームは早い人が勝つけど、マリオカートは最後まで分からない。自由に考えることが大事だった、誰もやってないから楽しんでネタを放り込んだ。面白いならそこに何でも突っ込んだ。

松本:素晴らしいですね。本当に素晴らしい。人の大切な時間を見事に奪っちゃっているのがやってやった感がすごいですよね。僕もそれをテーマにしているところがあるんですけど。本当はそんなことより仕事の方が大事なのかもしれないですけど(笑)

いかがでしたでしょうか?やはり天才同士のリスペクトと、共感が伝わってきますよね。しかしここで話されたことは私たちビジネスパーソンにも通じるものばかりだと思います。特に筆者は「オリジナリティの考え方」「常識を疑う重要性」がとても印象に残りました。

今後もこうした対談の切り取りみたいな記事はどんどん出していきたいと思いますので是非お楽しみにしてください!

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